従業員団体における区分経理
法人税法の基本通達を抜粋しましたのでご参照ください。
基本通達14-1-5に従業員団体の区分経理に関する特例の記述があります。
基本通達14-1-4の要件を満たした企業内共済会は、税法上「従業員団体」に該当し、共済会が行う福利厚生事業から生じた収益(共済会費や利息収入)や費用(慶弔見舞金等の給付)については、原則として、当該企業の収益や費用に含めて、会計・税務処理を行います。
したがって、母体企業が企業内共済会に拠出した福利厚生費に余剰が生じた場合、脱税防止の観点から、その拠出金の全額を費用支出として損金計上することが認められず、余剰金は、当該企業の会計年度末に戻入しなければなりません。
しかしながら、企業内共済会が行う福利厚生事業を企業の拠出金と役職員から収入した共済会費で按分して行っている場合には、税法要件(基本通達14-1-2)を満たすことにより、役職員からの会費収入分について、当該企業の収支・損益に係るものとしない旨の特例が基本通達14-1-5に規定されています。この場合、役職員の会費収入分にかかる収支・損益については、税法上「人格のない社団」として取扱われ、当該企業から分離・独立して会計・税務処理を行います。
※従業員団体の会計・税務処理の詳細については、所轄税務署または税理士もしくは弁護士等
にご確認ください。
14-1-4(福利厚生等を目的として組織された従業員団体の損益の帰属)
法人(法別表第一及び別表第二に掲げる法人を除く。)の役員又は使用人をもって組織した団体が、これらの者の親ぼく、福利厚生に関する事業を主として行っている場合において、その事業経費の相当部分を当該法人が負担しており、かつ、次に掲げる事実のいずれか一の事実があるときは、原則として、当該事業に係る収益、費用等については、その全額を当該法人の収益、費用等に係るものとして計算する。(昭46年直審(法)20「10」により改正)
(1) 法人の役員又は使用人で一定の資格を有する者が、その資格において当然に当該団体の役員に選出されることになっていること。
(2) 当該団体の事業計画又は事業の運営に関する重要案件の決定について、当該法人の許諾を要する等当該法人がその業務の運営に参画していること。
(3) 当該団体の事業に必要な施設の全部又は大部分を当該法人が提供していること。
14-1-5(従業員負担がある場合の従業員団体の損益帰属の特例)
14-1-4に該当する従業員団体について、その団体等の損益等が、例えば、当該法人から拠出された部分と構成員から収入した会費等の部分とであん分する等14-1-2の方法に準じて適正に区分経理されている場合には、14-1-4にかかわらずその区分されたところにより当該法人に帰属すべき収益、費用等の額を計算することができる。
ご参考
14-1-1 (任意組合等の組合事業から生ずる利益等の帰属)
任意組合等において営まれる事業(以下14-1-2までにおいて「組合事業」という。)から生ずる利益金額又は損失金額については、各組合員に直接帰属することに留意する。(平17年課法2-14「十五」により追加)
(注) 任意組合等とは、民法第667条第1項に規定する組合契約、投資事業有限責任組合契約に関する法律第3条第1項に規定する投資事業有限責任組合契約及び有限責任事業組合契約に関する法律第3条第1項に規定する有限責任事業組合契約により成立する組合並びに外国におけるこれらに類するものをいう。以下14-1-2までにおいて同じ。
14-1-1の2 (任意組合等の組合事業から受ける利益等の帰属の時期)
法人が組合員となっている組合事業に係る利益金額又は損失金額のうち分配割合に応じて利益の分配を受けるべき金額又は損失の負担をすべき金額(以下14-1-2までにおいて「帰属損益額」という。)は、たとえ現実に利益の分配を受け又は損失の負担をしていない場合であっても、当該法人の各事業年度の期間に対応する組合事業に係る個々の損益を計算して当該法人の当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入する。
ただし、当該組合事業に係る損益を毎年1回以上一定の時期において計算し、かつ、当該法人への個々の損益の帰属が当該損益発生後1年以内である場合には、帰属損益額は、当該組合事業の計算期間を基として計算し、当該計算期間の終了の日の属する当該法人の事業年度の益金の額又は損金の額に算入するものとする。(平17年課法2-14「十五」により改正)
(注)
1 分配割合とは、組合契約により定める損益分配の割合又は民法第674条《組合員の損益分配の割合》、投資事業有限責任組合契約に関する法律第16条《民法の準用》及び有限責任事業組合契約に関する法律第33条《組合員の損益分配の割合》の規定による損益分配の割合をいう。以下14-1-2までにおいて同じ。
2 同業者の組織する団体で営業活動を行わないものは、この取扱いの適用はない。
14-1-2 (任意組合等の組合事業から分配を受ける利益等の額の計算)
法人が、帰属損益額を14-1-1及び14-1-1の2により各事業年度の益金の額又は損金の額に算入する場合には、次の(1)の方法により計算する。ただし、法人が次の(2)又は(3)の方法により継続して各事業年度の益金の額又は損金の額に算入する金額を計算しているときは、多額の減価償却費の前倒し計上などの課税上弊害がない限り、これを認める。(昭55年直法2-15「三十三」、平6年課法2-5「八」、平17年課法2-14「十五」により改正)
(1) 当該組合事業の収入金額、支出金額、資産、負債等をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法
(2) 当該組合事業の収入金額、その収入金額に係る原価の額及び費用の額並びに損失の額をその分配割合に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法
この方法による場合には、各組合員は、当該組合事業の取引等について受取配当等の益金不算入、所得税額の控除等の規定の適用はあるが、引当金の繰入れ、準備金の積立て等の規定の適用はない。
(3) 当該組合事業について計算される利益の額又は損失の額をその分配割合に応じて各組合員に分配又は負担させることとする方法
この方法による場合には、各組合員は、当該組合事業の取引等について、受取配当等の益金不算入、所得税額の控除、引当金の繰入れ、準備金の積立て等の規定の適用はない。
(注)
1 分配割合が各組合員の出資の価額を基礎とした割合と異なる場合は、当該分配割合は各組合員の出資の状況、組合事業への寄与の状況などからみて経済的合理性を有するものでなければならないことに留意する。
2 (1)又は(2)の方法による場合における各組合員間で取り決めた分配割合が各組合員の出資の価額を基礎とした割合と異なるときの計算は、例えば、各組合員の出資の価額を基礎とした割合を用いて得た利益の額又は損失の額(以下14-1-2において「出資割損益額」という。)に、各組合員間で取り決めた分配割合に応じた利益の額又は損失の額と当該出資割損益額との差額に相当する金額を加算又は減算して調整する方法によるほか、合理的な計算方法によるものとする。
3 (1)又は(2)の方法による場合には、減価償却資産の償却方法及び棚卸資産の評価方法は、組合事業を組合員の事業所とは別個の事業所として選定することができる。
4 (1)又は(2)の方法による場合には、組合員に係るものとして計算される収入金額、支出金額、資産、負債等の額は、課税上弊害がない限り、組合員における固有のこれらの金額に含めないで別個に計算することができる。
5 (3)の方法による場合において、当該組合事業の支出金額のうちに寄附金又は交際費の額があるときは、当該組合事業を資本又は出資を有しない法人とみなして法第37条《寄附金の損金不算入》又は措置法第61条の4《交際費等の損金不算入》の規定を適用するものとしたときに計算される利益の額又は損失の額を基として各事業年度の益金の額又は損金の額に算入する金額の計算を行うものとする。
※出典;国税庁ホームページ