「人格のない社団」について

「権利能力なき社団」のことで、社団(多数の者が一定の目的を達成するために結合した団体で、構成員の個性を超越して、独立の単一体として存在し活動するものをいいます。)としての実質を備えていながら法令上の要件を満たさないために法人としての登記ができないか、これを行っていないために法人格を有しない社団をいい、「人格なき社団」ともいわれます。

典型的なものとしては、町内会、マンションの管理組合、サークル、同窓会などがあります。

最高裁の判例(昭和39年10月15日)によれば、法人ではない社団が成立するためには、以下の条件を満たす必要があります。

 (1) 団体としての組織を備え  

 (2) 多数決の原則が行なわれ

 (3) 構成員の変更にかかわらず団体が存続し

 (4) その組織において代表の方法、総会の運営、財産の管理等団体としての

      主要な点が確定して いること

また、法人税法(第2条8項)において「人格のない社団」は、法人でない社団で代表者又は管理人の定めがあるものをいいます。 

「人格のない社団」の特徴

「人格のない社団」の主な特徴は以下のとおりです。

● 構成員とは独立した法主体として、特例民法法人(社団法人)に準じた取扱いがなされる。  

● 権利義務については、構成員に総有的に帰属し、構成員各人は、人格のない社団の債務に

 ついての有限責任を負う。 

● 代表者が行った事業遂行目的のための法律行為の効力は、人格のない社団に帰属する。  

● 構成員の増減があっても、その組織自体は同一である。  

収益事業から生ずる所得に関する経理と収益事業以外の事業から生ずる所得に関する経理

 とを区分して行わなければならない。  

収益事業から生じた所得に対しては、法人税及び法人住民税等が課せられる。 

● 非収益事業から生じた所得を預金、有価証券等で運用した場合、非収益事業に付随する行為

 として扱われるが、利子等に係る源泉所得税が課税される。

 法人税における所得税額控除はない。  

● 人格のない社団と構成員の間に雇用被雇用の関係が生ずる場合は、労災保険等社会保障

 制度加入が可能となる。